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【コラム】もう迷わない!MTG版 真贋鑑定の達人になる方法

【コラム】もう迷わない!MTG版 真贋鑑定の達人になる方法

こんにちは、OwlMTGです!

最近は海外の通販サイトやフリマサイトでもカードの購入が容易になり、相場よりも比較的安価で手に入れることが可能になりました。

皆様の中にもフリマサイトで高額カードの購入をされたり、検討したことのある方はいらっしゃるのではないでしょうか。

一般に「実物を見てから買え」と言われていますが、そう言われてもどこをどう見ればいいのか、何をもって店を信頼すればいいのか、といった疑問を持たれる方もいるかと思います。

今回は偽造カードの構造と私がオススメする真贋鑑定の手法についてお話します。

手法を列挙するだけではなく”なぜこうなるのか“といった理由付けまでしっかりやっていきますのでよろしくお願いします。

なお、この記事の作成にあたって印刷所で業務経験のある、やぎ丸様に印刷に関する知識をご教授いただきました。

やぎ丸様は経歴を生かし真贋鑑定法の紹介動画作成に注力されております。

ご協力ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

この記事を読むと

  • 偽造カードの特徴
  • 精度の高い真贋鑑定の方法
  • カードの印刷手法と特徴

がわかります。

では、早速本編にまいりましょう!

 

1.一般的な真贋鑑定の方法とそれらの欠点

まず初めに念頭に置いておいていただきたい事があります。それは”これだけやっていれば問題ない”という鑑定方法は存在しないということです。

真贋鑑定を行う際に重要な考え方としてはいくつかの手法を組み合わせ総合的に判断する事が重要です。

絶対に感覚で判断したりするのはやめましょう。本物と偽物を判別した際は必ず理由付けをしてください。

一般に真贋鑑定に用いられる5つの方法をご紹介します。これらは認知度が高い方法ですが、★がついている真贋方法は特に私の中で信頼性が低いと考えているものです。

 

(1)ライトテスト

暗所でカードの裏面からブルーライトを当て、その透過率を見るというものです。正規品は光が透過して内部にある青紙が透けて見えるという特徴があります。一方で偽造カードは透過率が低かったり、中のブルーカードが見えないという特徴があると言われています。

(2)グラムテスト

カードの重さを測って真贋を見分ける方法です。MTGのカードの重さは1.65g~1.80gとなっており、この範囲に収まらないものは偽造の可能性があります。
しかし、偽造カードの中にも規定値内の重さのものも存在し、かつカードの摩耗や室内の湿 度によって重さが変動するため”規定値に収まっているからOK!”、と手放しに信用できるものではありません。

(3)ベンドテスト ★

カードの上下部分を持ちゆっくりと内側に曲げる方法です。カードの上下が接着してから手を離すと正規品はゆっくりと元の状態に戻り、偽造カードはこの手法を行うと折れ目がつくと言われています。


多くの動画や記事などでこの方法が紹介されていますが、力加減次第では正規品にも折れ目がつく可能性があり、かつ高額カードで試すには非常に危険であること、偽物でもベンドテストをクリアする個体は沢山あることから信用度は低くおすすめできません。

(4)カラーリングチェック ★

私の意見ではこのチェック方法については真贋手法とは言えないと考えております。

カラーチェックの弱点

・個々人、性別によっても見える色の数や見え方は変わる

・機材を使うわけでもないため初心者さんの方が行えるものでもないため

・印刷時期や職人の方の腕に左右されてしまうため

これらの理由からあくまでも「ちょっとおかしいな。詳しく見てみよう」と気づきを与えるものであり、これを手法として取り入れるのは間違いだと思っております。

(5)ブラックライトチェック

本物のカードはブラックライトを当てると塗料が反応し、偽造カードそれがないことからこの方法が生まれました。

しかし近年の精巧な偽物は本物と同様の現象がおきるため粗悪な偽物は判別できますが、ブラックライトを用意する手間などを考えると実用性は低いと考えています。

  • 本物でも偽物でも判別した根拠を言えるようにしよう!
  • 主観的な根拠は捨てよう!
  • 絶対的な判別方法は存在しない。複数の方法を組み合わせよう!

2.オススメの真贋鑑定方法

では、主観の介在しない方法とはどのようなものか。それは普遍的な特徴である印刷のドットパターンを用いた判別です。


MTGのカードと偽造カードでは印刷のパターンが異なります。カードはイラストやテキストを紙に印字したものであり、ルーペを使って細部を見ると共通したいくつかの特徴を視認することができます。


私はこれらを基準として機械的に真贋鑑定を行う方法をオススメしています。
「専用の高価な機材が必要なのでは・・・?」と心配される方もいると思いますが、ご安心ください。LOFTやAmazonなどで1000円程度のルーペを購入すれば十分判別方法です。

以下に私が普段利用している機材をご紹介いたします。(*リンク先:Amazon)

グラムテスト:デジタル 計量器 

パターンチェック:携帯ルーペ

パターン撮影:スマホ顕微鏡

 

(1)緑シンボルの”赤いLの点”を見てみよう!

MTGのカードの裏面のデザインには中央に5色のオーブがあります。

そのうち緑のオーブの部分、肉眼では確認できませんがここをルーペで拡大すると赤いドットがL字に見えます。

 この特徴はMTGのカードであれば第4版を除きすべてのカードが備えている特徴です。個体によっては薄く見辛いカードもありますが本物であれば現れる現象のため違和感を感じるカードがあった際にはまずはここを見てみましょう。

 

(2)側面を見てみよう!

2点目の確認のポイントはカードの側面です。MTGの裁断面は意外と粗く青い繊維が断続的に見えるのに対して、偽造カードは裁断面が不自然に綺麗です。色の違う繊維質がクッキリ見えていたり、逆に一切見えないこともあります。

なぜこのようになるのかと言うと、内部にある青い紙の端がカードからはみ出しているからです。

裁断面に差異が生じるのは正規品と異なる裁断機を使っていたり、職人の技術が影響していたりと様々となります。

(3)表面を見てみよう!

最後に見るべき項目は文字の浮き出方です。正規品はパターン(テキスト欄などの下地)の上に黒塗りされたように文字がくっきり表現されています。


一方、偽造カードはオリジナルデータを使用できないことから下地部分と同じロゼッタパターンが文字にも入り込んで少しぼやけたような表現となります。

ですが、この点に関しては一部例外が存在するので併せてご紹介します。

偽物を判別する際にテキストに注目するのは有効とお伝えしましたが、これはフォントデータが公開されていないカードゲームに限って特に有効となるものです。

他のTCGでもそうですがゲーム内で使用されているフォントは独自でデザインされたものが多く一般公開はされていないため、偽物を作る際は非オリジナルデータから取り込んで無理矢理印刷するしかありません。

しかしながら、MTGの英語版で使用されているベレレンフォントは公開されており誰でも使うことができます。
そのため精巧な偽物はスキャンした文字データを削除して、上記フォントを用いて文字を再入力することでこの判別を回避しています。市場に出回っている精巧な偽造カードは概ねこの方法で制作されているようです。

以上3点が当店おすすめの真贋鑑定方法です。
再度ご注意いただきたいのですが、偽造技術も上がっていることからどの項目が対策されるかわかりません。

そんな時に1つの鑑定手法だけで判断しては偽物をつかまされてしまう可能性もでてくるため、必ず複数の方法で判定を行い真贋鑑定を行ってください。

  • 裏面の緑のオーブの中にL字の赤ドットを見つけよう。
  • 側面はギザギザの繊維質がはみ出ているよ。
  • 文字が背景と同化しているかを確認しよう。

3.その他の偽造カードの特徴

3つの方法だけでは不安」、「高額品だからもっと確認箇所を教えて欲しい」という方向けに私が高額商品を見る際に確認している箇所をご紹介いたします。

(1)文字間隔やシンボルの境界線

偽造カードはテキストやイラストの境界部分が少しぼやけています。この特徴が顕著に現れるのが裏面の「The」の部分とエキスパンションシンボルです。

  • ポイントは”比較した時にくっきりしているか、ぼやけていないか”
  • よく見ると2章で紹介した箇所以外にも違和感が!
  • 文字やシンボルの境界は要確認のポイント!

 

(2)ホログラムシールの文字

MTGのカードには偽造防止のホログラムシールが新枠のカードには配置されています。

精巧な偽物は同じようにこのシールを付けていますが、宝石ルーペだと見辛いですが画像のような違いがみられます。

4.簡単にわかるカード印刷

(1)印刷方法の違い

これまで、正規品と偽造カードを見比べてきましたが、なぜこのような違いが生じるのかご存知でしょうか。これにはMTGのカードが印刷されるプロセスが関係します。

TCGの印刷は熟練の印刷工たちが複雑な機械を複数台用いて作成するオフセット印刷という方法が用いられています。

オフセット印刷は版画の原理を利用した印刷方法です。印刷情報をアルミの板に焼き付けた刷版(さっぱん)という物にインクを付け、紙に押し付ける事で作成されます。

配色の最小単位であるドットがすべての印刷で同じ配列になるので、印刷のパターンが細かく規則的で非常にきれいな発色になるという特徴を持ちます。

一方でこの印刷方法には数億円もの巨大な印刷機械が必要となるため、粗悪な偽造カードはハンコを必要としないオンデマンド印刷という方法で作成されます。
この方法ではオフセット印刷のように規則的なドット配列が生じないので、ルーペ1つで文字通り一目瞭然です。

 

(2)ロゼッタパターン

前項でお話した、オフセット印刷により生じる細かくて規則的な配列は、印刷物に規則的な模様を描きます。これをロゼッタパターンといいます。

MTGのカードもルーペで拡大するとこのロゼッタパターンを確認することができ、このようなパターンが見えない場合、それらはオフセット印刷を用いていない粗悪な偽造カードと断定する事が可能です。

5.偽造カードの流通経路

(1)偽造カード作られる場所

通常オフセット印刷機は数億円単位のお金、工場のような広さの敷地、複数人の熟練の技術者が揃って初めて環境が整います。


この敷居の高さがあるため、この記事を読んで

ふふふ、ご丁寧に製造方法や弱点をさらしやがって!この情報を悪用してオイラも偽造カードを作ってやるズラ!

といった浅はかな考えでは到底偽造カードの印刷を実現することはできません。

しかし昨今は不自然なくらい精巧な偽造カードが市場に出回ることがあります。中にはロゼッタパターンが確認できる明らかにオフセット印刷で作られたモノも存在することから、一部では国外の印刷事業者が裏バイトとして何らかの手引きをしているのでは?という噂もあります。

憶測の域を出ないので深くは言及しませんが、精巧なものが出来上がっている事実から今後はより自衛の姿勢が大切になってきます。

(2)もし偽造カードを入手してしまったら

もし一部のカードショップを欺くほど精巧な偽造カードが出現し、万が一皆さんの手に届いたとしても、冷静に対処することが必要です。


入手元に事情と経緯を説明し対応してもらえるか申し出ましょう。偽造カードを容認するショップは基本的には存在しないため、何らかの対応を行ってくれるはずです。


その際に本稿で言及しているような方法を用いて偽造カードの可能性がある理由を説明すれば、納得してくれることでしょう。

また、冒頭でも申し上げましたが、偽造カードは国外のフリマサイトなどから市場に流れるケースがほとんどです。自衛のため皆様が日々利用している信頼のおけるショップでの購入を強くオススメします。

昨今偽物は良くない!という意思表示で偽物だと判断したカードを破いてしまう方が散見されます。

破かれてしまうとショップとしては対応できない場合もでてきてしまうためまずはその状態のまま購入元に相談することをおススメいたします。

6.まとめ

ここまで読んでいただきありがとうございました。
当店はより多くの人に精度の高い真贋鑑定の方法を知っていただくことが、偽造カード流通の抑止力になると思っています。

高い精度で偽物を嗅ぎ分けられるようできる限りの情報を纏めましたので、もしこの記事が参考になったという方はTwitterでの投稿拡散にご協力をいただければ幸いです。

最後になりましたが、OwlMTGではカードを仕入れる際、店主が責任をもって真贋鑑定を行っております。ご利用のお客様におかれましてはこれからも安心してお買い物をお楽しみください。

7.真贋鑑定に関するQ&A

記事の中で網羅できなかったポイントや皆様から寄せられた質問などをこの項目に纏めました。真贋に関するQ&Aは随時募集しておりますので質問箱よりご連絡ください。

Q: 正規品であっても既定の重さに収まらないカードがありました
A: 一部のカードはパックから出したばかりのカードでも既定のグラムよりも重いカードが存在します。
 
Q: 緑のオーブにあるL字ドットはすべてのカードについていますか?
A: 第4版のみL字ドットがない個体が確認されていますが、それ以外のカードについては現状全てドットは存在しています。
 
Q: 実際、偽造カードを見たことがないと判別がつかないのではないでしょうか
A: Proxy NinjaというサイトではFAKE品を取り扱っており、発色等をYoutube上で公開しております。
 
Q: 偽造カードを販売しているサイトを紹介していいの?
A: 上記サイト内で販売されているレベルのカードで専門店のスタッフをだます事は不可能ですので、仮に悪意を持つ方がいたとしてもその方がカード代と国際送料等を損するだけになると思われます。
 
Q: ハンコを盗まれるということはないのか
A: オフセット印刷のハンコや元データは印刷が使用終了した時点で破棄する決まりとなっています。 
 
Q: この情報が漏洩することで偽物を作る人へ助けになるんじゃないか?
A: これらの情報は当店独自の物やショップだけが知りえるような秘匿情報ではありません。英語文献であればこういった情報を言及されている方は多く文章だけではなく動画でも紹介されているため、この情報を公開することで偽物の質が上がるとは考えにくいです。